法律問題コラム

2018/05/06 法律問題コラム

弁護士費用特約について

自動車保険に付帯された弁護士費用特約の普及が進み、認知度も上がってきているようです。ご承知のとおり、弁護士費用特約は、交通事故等の被害に遭った場合に、弁護士に相談し、さらには交渉・訴訟を依頼したときに、その費用を保険で賄うことができるものです。

被害者の救済の観点から、弁護士費用特約の普及は好ましいことだと言えるでしょう。
このことは、とくに物損事故について顕著です。物損被害は、損害額が比較的少額に止まることが多いため、以前なら、費用倒れになることを恐れて弁護士に依頼することを躊躇し、結果として泣き寝入りをしたり、保険会社のいいなりになったりすることが多かったものと推測されます。

しかし、弁護士費用特約が利用できるなら、弁護士費用の負担を心配することなく弁護士に依頼することができ、交渉・訴訟の結果、少しでも保険会社の提示を上回る結果となれば損にはならないのですから(※)、弁護士に依頼することのハードルはぐっと低くなり、救済を受けられる方が増加しているものと考えられます。

また、これは統計的な根拠を持ち合わせているわけではありませんが、当職の経験上、人身被害の賠償に関する保険会社の対応に変化が見られるように感じており、これも弁護士費用特約普及が一因ではないかと推測しています。
というのは、以前は、弁護士が代理人に就いて交渉しても、保険会社は、訴訟前の段階では「未だ訴訟でない」というだけの根拠で、保険会社基準での損害評価に固執し、裁判所基準をベースとする示談には頑として応じないことが一般的でした。それが近年は、交渉段階で裁判所基準に近いレベルでの示談に応じるケースが見られるようになってきました。
これは、弁護士費用特約が利用されている事案では、「弁護士費用増加のおそれ」を被害者側が考慮しないため、保険会社が裁判所基準とかけ離れた提示に固執していたのでは示談できないケースが増えてきた結果ではないか、とも考えられるからです。

影山法律事務所では、人身事故はもちろん、物損事故についても、弁護士費用特約の利用を前提とするご依頼をお受けしております。加入しておられる保険会社に弁護士費用特約の利用を申し出ていただき、利用できることをご確認のうえ、ご相談をお申し込みください。

※約款により保険金の給付には限度が設定されています。限度を超過することにより、一部の費用が自己負担となる可能性はあります。