法律問題コラム

2014/05/25 法律問題コラム

底地の買取価格について

借地上の建物にお住まいの方から、「地主との間で底地の買取り交渉をしているが、値段について折り合わない。借地なのだから、土地の相場価格から借地権価格を差し引いた代金とするよう要求する権利があるのではないか。」というご相談を受けました。
たしかに、借地については、土地の価格のうち相当部分が既に借地権価格として借地人に帰属していると考えられます。したがって、借地人が地主から底地を買い取るにあたって支払う代金は、土地の相場価格から借地権価格を差し引いた代金とするのが合理的だということが可能です。
しかし、法は借地人に対して、底地の売却を地主に請求する権利を与えてはいません。法は、あくまで借地人が、その意に反して土地を使用・収益する権利を奪われないように保護しているのであって、そのためには底地の売却を請求する権利まで認める必要はないからです。
したがって、土地の売買代金をいくらとするかは、地主と借地人の間であっても契約自由の原則が支配する領域の話になります。いくら、借地権価格を控除した額が合理的だといっても、地主がその値段では売らないと言えば、それまでになってしまいます。裁判で売却を強制することはできません。