個人根保証契約と極度額の定め

H29年民法改正による改正点には、一般の企業の業務に影響するものも多く含まれています。その1つに個人根保証に関する規制の強化があります。


根保証とは「一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証」のことです(民法465条の2第1項)。根保証では、主たる債務の額が想定外に膨れ上がり、保証人が過酷な状況に陥ることがあります。H16年改正後の民法は、(1)主たる債務に貸金等債務(金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務)が含まれ、(2)保証人が個人である場合に限り、極度額の定めのない根保証契約を無効としていました。


これに対し、H29年改正民法では、貸金等債務の根保証に限らず、保証人が個人である根保証契約一般について極度額の定めを要求することとしました(民法465条の2第2項)。また、この極度額の定めは、保証契約締結の時点で確定的な金額を書面(又は電磁的記録)上定めておかなければならないものとされています(同条3項)。


したがって、改正規定の施行後は、賃借人が賃貸人に対して負う債務の保証や身元保証(労働者の行為によって使用者に生じる損害の担保を目的とした保証)など、貸金等債務を主たる債務としない根保証契約であっても、保証契約の書面(又は電磁的記録)に極度額の定めを設けて置かなければ無効となります。


改正規定の施行日は2020年(R2年)4月1日です。今後は、施行日前でも改正規定の内容に則した契約とすることが望ましいでしょう。また、そうでなくとも、施行日が迫って慌てることのないよう、業務上使用している契約書書式について、改定作業を進めておく必要があります。