過去に遡る期間の計算方法

期間の計算方法について、法令に特別な定めがない場合の原則的な計算方法が民法138条以下に規定されています。それによれば、日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は算入しないが、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない(つまり算入する)とされています(民法140条)。終期については、期間の末日の終了時点とされています(民法141条)。

 

たとえば、控訴の期限は判決書の送達を受けた日から2週間ですが(民事訴訟法285条)、判決書の送達を午前零時に受けることはないでしょうから、初日を算入しないで計算した2週間後の日の終了までが期限となります。具体的には4月1日に判決書の送達を受けたのであれば、4月2日から数えて2週間以内である4月15日の終了までが控訴の期限になります。ただし、土日、祝日、年末年始等の場合は、休み明けになります(民事訴訟法95条3項)。

 

それでは、ある時点から遡って日、週、月又は年によって期間を計算する場合は、その起点・終点はどうなるのでしょうか。たとえば株主総会の招集通知は総会の日の2週間前までに(会社法299条1項)、マンション管理組合の集会の招集通知は集会の日の1週間前までに(区分所有法35条1項)それぞれ通知しなければならないといった具合に、遡ってする期間計算が必要となる例は少なくありません。

 

この点、民法に規定はないのですが、民法の期間計算の規定を類推適用すべきものと解されています(四宮和夫・能見善久『民法総則〔第9版〕』412条、大判S6.5.2民集10巻5号232頁)。
「類推適用する」ということは、民法の規定の始点と終点を時間的にひっくり返して考えることになるのでしょう。
つまり、遡りの始点(「○○の日から2週間前まで」などという場合の「○○の日」)については、民法140条を類推し、「○○」がその日の24時ちょうどであれば、その日を算入してその日から、24時ちょうどでなければ、その日を算入せずに前日から起算することになり、遡りの終点(始点から「2週間前までに△△する」とされている場合の「2週間」の限界)については、民法141条を類推して、期間の初日の開始(午前零時)時点と解することになるのでしょう。現実的にはその前日までに△△すべきことになります。


すなわち、「○○の日から2週間前までに△△する」との規定に基づいて、実際に△△しなければならないのは、○○が24時ちょうどでない場合には、○○の日の前日から数えて2週間と1日前の日までであることになります。別の言い方をすれば、△△した日と○○の日のいずれも除き、その間に2週間がなければならないということです。

実際、先に引用した大審院の判例は、「株金の払込は2週間前に催告することを要す」とする当時の商法152条1項の規定との関係で、払込期日を1月27日として1月13日にした催告は、2週間前にした催告にあたらず、無効であるとしています。催告日の翌日から払込期日の前日までで数えると13日間であり、2週間に不足するからです。

 

細かな話ですが、あまり意識されておらず、誤った計算をしている例が見かけられますので、注意が必要です。