賃貸借の保証人に関する条項と民法改正

今般の民法改正により、個人が保証人となる根保証契約については、極度額(保証人が責任を負う上限の額)の定めを設けなければ効力が生じないものとされました(民法(新法)465条の2)。不動産賃貸借契約に基づいて賃借人が負う一切の債務を保証人(個人)が保証する場合、上記規定の適用があります。

 

もっとも、「施行日前に締結された保証契約に係る保証債務については、なお従前の例による。」とされており(附則21条1項)、既存の保証契約に極度額の定めがなかったとしても無効にはなりません。新法の規定は、改正民法の「施行日」(2020年4月1日)以後に締結される保証契約に適用されます。


では、既存の賃貸借契約が施行日以後に更新された場合は、どうなるのでしょうか。更新後も当初の保証契約が存続すると考えるなら新法の適用はないことになりますが、更新された時点で新たに保証契約が締結されたと考えるなら、新法が適用されることになります。

 

この点、法務省の立法担当者は、最高裁が「期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当」(最判H9.11.13裁判集民事186号105頁)と述べていることを指摘して、新法の適用はないとする見解を示しています(『一問一答民法(債権関係)改正』384頁)。

 

この見解に従うなら、改正民法の施行日の前日までに契約を締結するのであれば、極度額を定めなくとも、施行日以後に更新された場合であっても保証契約は無効とはならず、債権者(家主)の立場からすれば、(極度額の制限無く保証人に対する請求が可能となるので)その方が有利ということになりそうです。 ですが、上記見解が絶対に正しく、将来、裁判で争われたときに裁判所が上記見解を採用するという保障はありません。施行前とはいえ、改正民法が成立している以上、今からその内容に従い、極度額の定めを置いて契約するようにしていくことが実務的には適切だというべきでしょう。