シンポジウム「パブリシティ権の現状と課題」

11月28日、大阪大学中之島センターで「パブリシティ権の現状と課題」と題したシンポジウムがあり、聴講してきました。
まず、ピンクレディ事件で被告側代理人をされた伊藤真弁護士(ライツ法律特許事務所)の講演があり、わが国の司法におけるパブリシティ権の扱いに関する変遷・発展について主要な判例を挙げ、問題となった雑誌の画像を紹介しながら解説されました。
ついで、宮脇正晴教授(立命館大学)の講演では、ピンクレディ事件最判が「人格権に由来する権利」と判示した意味とそこから導かれる今後の展望について、「混雑外部性論」なる枠組みを用いて自説を開陳されました。
後半のパネルディスカッションでは、パブリシティ権を利用される俳優側の立場や利用するテレビ局側の立場の論者等も加わり、最判の採用した「専ら」要件の意義等について議論が交わされました。そこでは最高裁が「専ら」要件を採用することにより、表現の自由に配慮し、パブリシティ権の成立範囲をごく狭く限定しようとしたものとする点では論者の理解は共通するものの、これを実務を追認し、明確化したものと肯定的に捉えるか、否定的に捉えるかは論者の立場の違いにより異なる意見が出ていました。
パブリシティ権については、法律の規定が存在しないことはもとより、文献も必ずしも豊富ではありませんので、今回、内容の濃い講演や多様な立場の論者による議論を耳にすることができて頭の整理にもなり、大変意義深いシンポジウムでした。